2005年07月14日

The Interviewave アンドレ・ムーア インタビュー 

The Interviewave

アンドレ・ムーア インタビュー 
Andre Moore Interview

andre056-2.jpg 4月13-16日の日程で開催されたWal-Mart FLW TOUR第4戦にて、アリゾナ州出身のアンドレ・ムーアが自身メジャー・トーナメント2度めの優勝を果たした。だが、これがただの優勝ではない。彼が頂点に立った大会は、Wal-Martオープンと呼ばれる優勝賞金が20万ドルのビッグイベントで、しかも1度めのメジャー制覇も4年前のWal-Martオープンだったのだ。つまり、彼は2度の優勝で40万ドルを手中にした、アメリカン・ドリームを描いたようなプロアングラーなのである。basswaveでは昔から彼に注目しており、タイミングを見計らってインタビューしたいと考えていた。というのも、彼は独特のキャラクターを持ったアングラーで、普段から放送禁止用語を連発する。キワドい部分は今回のインタビューでももちろん割愛したが、そんな彼の魅力は彼が経営し、今では全米各地で大流行となっているリアクション・イノベーションズのルアーにも活かされている。今回は、そんな彼の魅力に迫ってみた。

basswave:アンドレさんは、今年からBASS CITGOバスマスターツアーに初参戦してFLW TOURとのかけ持ちになりましたが、ペースを乱すことなく、いい順位でのフィニッシュが続いています。
アンドレ・ムーア(以下ムーア):悪くはなかったな。オキチョビー戦はそこそこよかったし、バスマスターの最終戦(テーブルロック・レイク大会)は7位に入った。FLW TOUR第4戦では優勝したし、まったく悪くないと思う。ただ3月に開催された大会は少し低迷していたが、今振り返ると、結果オーライといった感じだな。

basswave:今回はアンドレさんが2度めのビーバー・レイク大会制覇ということで、何か隠された秘話があるのではと思い、お話を伺うことにしました。
ムーア:秘話かぁ。トーナメント以外の部分なら、面白いネタをいっぱい持っているんだが、それではダメか?(爆笑) アングラーや雑誌から優勝パターンを聞かれて、同じことを話すのがつらくなってきてさ(苦笑)。

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アンドレ・ムーア・
ブリーフバイオグラフィー
Andre Moore's brief biography

 幼少時代からバスフィッシングに熱中し、10代のころから西海岸ローカル団体にエントリーする。彼の人生において大きな分岐点となったのは、1993年10月にジョージア州レイク・マーレイで開催されたBASSメガバックス・トーナメントだったという。このとき、彼は若干18歳だった。この大会で手応えを掴んだ彼は、1996年にBASSセントラル・インビテーショナル(現オープン戦)3試合に参戦。翌年にはウェスタン・インビテーショナルが開幕し、主戦場とする。2000年からはFLW TOURに参戦し(本格参戦は2002年)、FLWでは2度頂点を極める。2004年にはBASSウェスタン・オープンで年間9位に入り、バスマスターツアーに昇格。今シーズンはツアーで総合24位でフィニッシュし、バスマスター・クラシック出場も決めた。BASS系においては26戦出場し14試合で賞金圏内(53%の確立)に、FLW系では31試合中22試合で賞金圏内(70%)でフィニッシュ。今や、アーロン・マーテンス、スリート・リースに続き、西海岸出身(アリゾナ州在住)若手の注目プロアングラーである。

basswave:まぁ、そう言わずに。日本にもアンドレさんの活躍に注目している読者がいますから。深くとはいいませんから、掻い摘んでビーバー・レイク大会を振り返ってください。面白い話はその後でお願いします。
ムーア:OK。今回は6日間のプラクティスを行なった。最初の2日間はプリスポーンバスのバイトが集中して、クランクベイトやスピナーベイトといったファイストムービング系への反応がよかった。次第に水温が高くなっていって、ネストに入ると予測した。本戦2日前にはネストに入っているバスを確認して、いい感じで本戦を迎えられる気がした。

basswave:本戦初日は降雨があって、気温も下がったと聞いています。
ムーア:それでパターンを変えた選手もいただろうが、バスはネストを離れなかった。このトーナメントでは、すべてのバスをサイトフィッシングで釣り上げた。私のフェイバリット・テクニックだし、自信を持っている。

basswave:サイトフィッシングには、アングラーによって独自の流儀があります。もし教えていただけるのであれば、アンドレさんのテクニックのヒントをもらえますか?
ムーア:まず簡単なところでは、どのルアーでアプローチするかだな。ワームやジグに限らず、ネストのバスを簡単にバイトさせる方法やルアーもある。だから、ルアー選びは重要だと思う。それから、バスが何を考えているかを読み取るのも重要だ。泳ぎ方やネストの守り方、短時間でバイトさせられそうなのか、時間がかかりそうなバスなのか、それらを見分けられないと、試合の時間配分ができない。ルアーをアプローチする前にバスを見れば、大体わかるんだけど……。練習だな、サイトフィッシングは。競技時間を目一杯使って10Lbを2尾釣るサイトフィッシング・パターンと、4Lbを5尾揃えるサイトフィッシング・パターンはまったく異なった釣り方だろ? そのレイクのアベレージサイズを把握しておくのも重要だと思う。それから、偏向グラスも必要だ。私の会社(リアクション・イノベーションズ)のスタッフが日本製の偏向グラス(タレックス・レンズ入り)をくれたんだが、これがスゴいんだ。このレンズのお陰で、サイトフィッシングがより得意になった。もうアメリカ製のレンズは使ってられない感じさ(笑)。

basswave:大会初日は「サイトフィッシャーが低迷」とレポートされていましたが、アンドレさんはどうでしたか?
ムーア:初日は天候が悪かったから、クリークに入って、確実にリミットを揃えることに専念した。11Lb7ozとウエイトは大きくなかったが、28位タイにつけた。天候次第でグッドフィッシュをバイトさせられる自信があったし、2日めは晴天になるのを願った。すると2日めは天気がよくなって、今度はメインレイクを攻めた。どんなレイクでもクリークに入って釣る選手がいるが、私はメインレイクのほうがグッドフィッシュが釣れる確率は高いと思っている。2日めはプレッシャーがかかったためか、全体的にウエイトが下がった。一方で私はメインレイクで13Lb10ozを釣って、5位にジャンプアップして、予測通りの展開だと思ったよ。決勝に進んでしまえばプレッシャーは下がるし、優勝する自信もあった。特に今回はサイトフィッシングが機能すれば、その確立は高いと思っていた。

basswave:その自信はどこから沸いてくるものですか?
ムーア:ハハハ、そうだなぁー(笑)。なんのためにプラクティスをやってるかを考えてみるといい。もちろん魚を見つめるためで、グッドフィッシュのストック量が多いエリアを探すためなんだけど、それらを合わせて、「パターンを見つける」と言うだろ? でも、練習を通じて自信を得るのも大切さ。決勝初日も最終日も、さっき言った本戦2日前の状態にすごく似ていた。天候、風、水温、気温、だったら、2日めと同じ感覚でレイクを回れば、同じくらいのウエイトが出るはずなんだ。予選の2日間でねらっていたバスが釣られている可能性はあったが、初日はディープからシャローに上がりきっていないバスもいた。つまり、あの日少し寒くなって、バスは一斉にシャローにささなかったんだ。でも、決勝はプラクティスと同じ感じ天気具合だったから、シャローにさす兆しがあった。競技するのは10名だし、勝てる可能性は高かったと思う。パターンがハマッたんだよ。試合後、あるライターに「優勝したんだから、それなりのストーリーがほしい」と言われたんだが、プラクティスで見つけたサイトフィッシングのパターンをやっただけなんだ。ルアーはスイート・ビーバーだったと言っておこうかな(微笑)。

andre054-2.jpgbasswave:数ヶ月前、アンドレさんと同じウェスタン地区出身のブレント・エーラーと話たとき、彼に「はじめて中東地区、南部地区をFLW TOURで転戦するが、どの大会で一番勝てそうだと思うか」と聞きました。すると彼はビーバー・レイクと答え、理由は「西海岸のレイクに似たリザーバーだから」と言っていました。
ムーア:FLWが大会を開催しているレイクと比べれば、レイクのタイプでは西海岸に多いマウンテン・リザーバーだといえるが、釣りはまったく違うよ。バスの性格が違うって言ったほうがわかりやすいかな。同じ人間だけと、日本人とアメリカ人の典型的な性格が違うようにね。

basswave:具体的には何が違いますか?
ムーア:西海岸のバスは、ビーバー・レイクのバスほど他種との競合が少ない。ビーバー・レイクには、ストライプドバス、ホワイトバス、クラッピーやクラッピーに似たパンフィッシュ科の魚が多いし、巨大なキャットフィッシュもいる。あとは、ビーバー・レイクは西海岸のリザーバーのように水位変動が多くない。だから、ディープがシャローエリアになったりする傾向がないから、基本的にビーバーのバスは大きな移動をしない。ビーバー・レイクのバスは……レイジー(怠け者)なんだよ、南部域に住んでるアメリカ人みたいに(爆笑)。

basswave:(笑)。私も笑ってしまいましたが、アンドレさんも南部の人は西海岸の人と違うと思っているのですか?
ムーア:全然違うね。人種が違うと思ってる。フレンドリーじゃないし、何をしゃべってるかわからないし。大会で南部に行くと、早く帰りたいな〜と思うよ(笑)。

basswave:そういえば、アンドレさんはバスマスターのテーブルロック大会では7位に入りました。この湖は、ビーバー・レイクと同じホワイトリバー水系のリザーバーですが、この水系を得意としていると考えていいのでしょうか?
ムーア:それはいえないと思うよ。テーブルロックのほうが断然釣りやすい。あのレイクにはストライプドバスが生息していない。だから、バスはストライパーにエサを取られない分、大きく成長する。あの大会はクランクベイトがよかった。特に、自分でカスタムペイントしたカラーがよかった。

andre053-2.jpgbasswave:さて、これでウォルマート・オープン(ビーバー・レイク大会の別称)を2度制覇しましたが、優勝したときはどんな気分でしたか?
ムーア:そりゃまぁ、1度めの2倍は嬉しかった。……。

basswave:そっ、それだけですか?
ムーア:うーん、一生懸命プラクティスしたし……優勝するまでたくさん大会があったからね。「やっと勝てた」といった感じと、「勝ててよかった」という気分から、安心してポカーンとしたね(苦笑)。優勝して、会場からアリゾナ州の自宅に帰ってきたんだが、その間に嬉しさが薄れていった……。ロングドライブなんだよ。疲れちゃってさ、嬉しいのは嬉しいんだけど。

basswave:アンドレさんのプロフィールによると、最初のメジャーな大会出場は1993年のBASSメガバックス大会ですよね。もしかして、まだ10代だったんじゃないですか?
ムーア:たぶん18歳だったと思う。エントリーしてみたら通ったから、じゃぁ出るか、と。結果はよくなかったが、いい経験にはなった。最初のビッグトーナメントだったから、仕方がない。その前にもローカルの大会に出ていたが、雰囲気や規模が違うからね。その後、またウェスタン・インビテーショナルがスタートしてなかったから、セントラル戦に出たんだが、釣り以上にカルチャーショックのほうが強かった。

basswave:南部文化と西海岸の違いですか?
ムーア:「映画で見た世界だーっ!」と思ったよ。レイクの周りの小さな町は映画そのものだし、さっきも言ったけど、同じアメリカ人の私ですら彼らの南部訛りには苦労した。長い間、南部にいると南部訛りがうつってしまうアングラーがいるが、私はそうならないようにしている(笑)。

flw054-1-2.jpgbasswave:では、リアクション・イノベーションズ(以下:RI)についてお伺いします。近年もっとも注目されているルアーのひとつで、特に今シーズンは多くの大会で優勝ルアー、上位入賞ルアーになっています。起業しようと思われたのはいつごろだったわけですか?またその理由は?
ムーア:ちょうどビーバー・レイク大会で初めて優勝した直後だよ。それ以前から自分で開発したルアーをリリースしたいと思って、プロトタイプのフィールドテストはやっていた。あの大会で優勝したから、その賞金をほぼ全部投資して会社を設立した。スタッフの助けもあって、すぐに軌道に乗ったし、設立からまだ数年しか経過していないが、それなりにルアーを発表し続けている。売り上げも伸びている。

basswave:最初にリリースしたのは、どのルアーだったんですか?
ムーア:3つのアイテムを同時に開発してリリースしていた。ドミネイター・ワーム、ミニ・スカートとブーンブーン・チューブの3つを発表した。スイート・ビーバーも手がけていて、2、3ヶ月遅れて発売になった。「なぜ、RIのルアーが釣れるんですか?」と聞かないでくれよ。釣れないルアーを発売したつもりはないから。

basswave:私が聞ききたいのは、RIのルアーには……非常にユニークな名称、性的なものを連想させる名称が多い部分です。
ムーア:ハハハハ(爆笑)。いい質問だ。それには快く答えよう。ルアー業界は、なぜだか、他のメーカーのルアー名をパクッたような名称が多いだろ? もう、そういうのは飽き飽きしていたんだよ。だから、使ってくれる人をニヤッとさせられるような名称を付けたかった。結果的に、アングラーからアテンションを得られたから成功だと思っているよ(笑)。

注釈:RI製ルアーには本当にユニークなルアー名が多い。
ボールブレイカー(ball breaker)とは直訳すると睾丸を握り潰す人だが、一般的には骨の折れる仕事、きつい仕事の意味で用いられる
スイート・ビーバー(sweet beaver)とは、女性器を指す俗語で、ルアーのボディー部にもワレメが入っている
トリクシー・シャッド(trixie shad)のトリクシーとは、イージーで誰とでも寝る女
ヴィクセン(vixen)はガミガミ言う喧しい女の意
ドミネイター(dominator)は独裁者の意だが、性的なイメージからすると、ドSな人を示す

またカラーチャートにも面白いネーミングが多い。
褐色=オックスブラッド(ox blood・牛の血)
青=ヘマトマ(hematoma・血腫。打ち身をすると、肌が青くなることから)
白=ホワイト・トラッシュ(white trash・南部域に住む下流階級の白人。侮辱的な表現)
茶色=クーナスティー(coonasty・クーンとは差別的に黒人を指す言葉。ナスティーは汚い。クーナスティーはその造語)
ウォーターメロン=ババメロン(bubbamelon・現在、ババとは一般的に南部に住む人を指すが、昔は頭が悪く、歯が抜けていて、理解できない訛りで話す南部域に住む下流階級の白人を示した。一部では、刑務所で性的欲求をはらすため、女役をやらされる人を示す)

そして極めつけは……アンドレさんに解説してもらった。

basswave:カラー名で特にスゴいのがあるそうですね。ESPNの番組でバイロン・ヴェルヴィックが「朝から公共の電波でこんなカラー名は言えない」と言ったとか。一体何を指しているんですか?
ムーア:ハハハハ(爆笑)。そんな話よく知ってるな!そうなんだ、アイツは言えなかったらしいよ。ダーティー・サンチェス(Dirty Sanchez)というカラー名なんだがね。

basswave:どんな意味があるんですか?
ムーア:掲載できるのか!? まぁいいや。まず女の子とセ○クスしてて、後ろから攻めるだろ。そのときにア○ルに自分の指を突っ込むんだ。抜いたら茶色いのが付いてるから、それを女の子の鼻の下に塗るんだ。そうすると、ヒスパニック(ラテン系アメリカ人)が生やしているヒゲみたいに見える。これをダーティー・サンチェスと言うんだよ。

basswave:たとえバイロンがTVで言えたとしても、TVを見ている子供が「お父さん、ダーティー・サンチェスって何?」と聞かれた場合、答えようがないですね。
ムーア:まったくそのとおりだが、ちゃんと教えるか教えないかは、そのお父さん次第だから(笑)。思い出したよ、いい話がある。西海岸出身のA.B.というアングラーを知ってるか? いまはFLWにも出ている。

cover_moor1-2.jpgbasswave:知ってます。今季からFLWに復帰した選手ですね。
ムーア:アイツは、ルイジアナで推定350Lb(約170kg)の女の子をナンパして、どうも彼女にしてしまったらしい(笑)。あるアングラーが、彼らが一緒に歩いているところを発見したんだ。そのアングラーは、ハンティングもやるらしいんだが、彼が今までに目撃した熊よりもデカかったと言っていた。スランプ・バスターって言葉を知ってるか? 野球からきた言葉で、チームがスランプになって勝てないとき、それを潰すためにチームの誰かが犠牲になって大きな女性と寝るという慣わしがある。A.B.は、自分から志願してあのルイジアナ娘に手を出した。

basswave:ということは、A.B.はスランプだったんですか?
ムーア:いや、ただの趣味だと思う(爆笑の末、むせる)。

(掲載できないダーティーな内容が延々と続いたので、大幅にカット)

basswave:そろそろ釣りのエピソードを話してもらえませんか?
ムーア:じゃぁ、いいのがあるよ。ビーバーレイク大会の3日めの朝、ESPNのクルーがインタビューに来たんだ。「何か縁起を担いでいるのはありますか?」と。それで「バナナを俺のボートに持ち込まれるのが嫌いだ」と答えた。俺にとってはバッドラックなんだよ。最終日に、TVのカメラマンが同船した。エリアについて、キャストしていたら、ヤツはいきなりバナナを食べはじめやがった! その瞬間、俺はカチーンと来て、「オメーは何をやってんだ! バナナを捨てろ!」と叫び狂った。カメラマンは釣りをしたことがない、ただのカメラマンで、「コイツはイカレている」と思ったらしい。それで彼はバナナを捨てた。俺はムカッとしながらもキャストを再開したら、その日のビッグフィッシュが釣れたんだ。

basswave:それはスゴい縁起のいい話ですね。
ムーア:これでインタビューが丸〜くおさまっただろ?

basswave:おさまりました。ありがとうございました。

+Reaction Innovations
+Andre Moore.com

Posted by DODGE at 2005年07月14日 13:25 in Interviewave

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