2004年12月30日

「Interviewave」 清水盛三インタビュー パート2

The interviewave

清水盛三インタビュー パート2
Morizo Shimizu Interview Part2

The interviewave「清水盛三インタビュー パート2」では、パート1に引き続き清水さんの2004年シーズンを振り返ってみたい。ハードスケジュールで転戦した昨シーズン、連戦に続く連戦にもかかわらずWal-Mart FLW TOURでは2度決勝に進出。しかし、BASS CITGOバスマスターツアーで本来の実力を発揮できず、総合成績93位に甘んじた。
 一方、清水さんと同じくFLW TOURとの掛け持ちで転戦した大森貴洋さんは、日本人で初めてバスマスタークラシックを制するという快挙を達成した。経験の差を考えれば単純な比較はできないが、同じ日本人の活躍を悔しく思ったことだろう。清水さんは昨シーズン、アメリカのトーナメントから何を得たのだろうか。

basswave:FLW TOURでは上位でのフィニッシュがありましたが、バスマスターツアーの成績は、残念ながら振るいませんでしたね。
清水:BASSは……難しいですよ、ホンマに。ルールが厳しいので、たった3日間(の公式プラクティス)だけで試合に出なあかんから。昨シーズンは、ほとんどがはじめての湖やったのもキツかった。なにより、スケジュールがタイトなのが一番の敗因やろね。移動して次の湖に着いたら、なんの用意もできないままとりあえずプラクティスに出るしかない。自分で選んだ道やから、仕方がないけどね(笑)。でもこの道のほうが強くなれると信じてるから。3日間のプラクティスで湖を把握できるアングラーが理想やし、そうなりたいと思ってる。でも、BASSは2年前に初めて回ったときよりは、ずいぶんましになってきたかな。成績には反映されてへんかもしれんけど、自分自身では成長してると思ってる。初年度は出場するだけで精一杯やったけど、今は試合全体を見ることができるようになった。

basswave:具体的にはどのようなところが成長したと感じていますか?
清水:戦術面やね。最初はプラクティスをやってもまったくパターンが見えずに本戦の突入してた。平然としてたけど、実は内心では「どうしよ、どうしよ」と焦りまくってた(笑)。でも2年めになったら、レイクの状態がかなり見えてきた。直前にサンダーストームに襲われてパターンが変わってしまったこともあったけどね。今後の課題は、状況が急変しても見失わないようになること。それを今のスケジュールでやらなアカンから……自分で言うのもヘンやけど、ホンマに大変なコトなんよ。

basswave:ワンシーズン、それも6ヶ月で12試合をこなすワケですが、印象に残っている試合はありますか?
清水:そりゃぁ、一番成績がよかった試合でしょう(笑)。ケンタッキー・レイクの試合は、予選の2日めでエンジンが壊れてしまったんで、自分のボートを置き去りにして他のアングラーのボートに乗せてもらってウエイインした。結構ビッグウエイトを持ってたから、なんとしてもウエイインしたかった。そうしたら、1oz差で決勝に残ることができたからね。あのときだけはアメリカ人ばりに「オォォーーーッ!」って叫びたくなったもん(笑)。

basswave:壊れたボートは、どうなったんですか? 湖の真ん中に置いておくわけもいかないでしょうから。
清水:ボートは地元の人が保管してくれていて、(ウエイイン終了後に)車で取りに帰った。宿に戻ったのはもう夜中で……夜中といっても選手は起きる時間やからね。ほとんど寝る暇もなく決勝の初日を迎えたという感じやったから、スゴい印象に残ってるわ。

basswave:いま、「一番成績のよかった試合」が印象に残っているとおっしゃっていました。この試合では3位でしたが、一方で第1戦のフロリダ州レイク・オキチョビー戦は194位でした。パターンが見えてなくてそれが試合結果に現れた感じだったのでしょうか? 失礼ですけど、FLW TOURには200名が出場しているわけですから……。
清水:ええよ、遠慮せんで「ビリ同然」って言ってくれても(笑)。でも、実はその逆で、プラクティスではメッチャ見えてた。見えすぎてちょっと緊張したくらいやったんよ。なんでダメやったかというと、前日に天候が急変して、バスがそのエリアから全部消えてたから。それはそれはスゴいエリアでね。完璧やと思っていたパターンが試合中に機能しないときほど焦るものはないんよ。さっきも言ったけど、目標は1回でも決勝に残ることやったからね。プラクティスで見つけたパターンをゼロに戻してそこそこの魚を持ってきたとしても(決勝に進出できるウエイトには)届かへんと思ったから、やり通しただけ。でも結果は散々やったね。

basswave:オキチョビー戦は、聞くところによると、サイトフィッシングがメインのアングラーが多いようです。以前伺ったとき、清水さんはサイトフィッシングをあまりやらないほうだとおっしゃっていました。
清水:フリッピング、ピッチング、巻き物と全部やるけど、サイトフィッシングはあまりやらへんね。サイトフィッシングでネストを釣るより、クランクとかスピナーベイトで広く探って、あとはワームをキャスティングしてブラインドで釣るほうが自分の得意な釣りやし。

basswave:となると、現在両ツアーは1〜3月に試合が集中していますし、必然的にスポーニングパターンが多くなると思います。サイトフィッシングであれば、ある程度バスのサイズを把握して選んで釣ることも可能だと思いますが、ブラインドだと選んでサイズアップを図るのは難しいのでは? また、冬に試合が集中しているということについてはどう思っていますか?
清水:競技として勝つためには、サイズを見て確認して釣るほうがええのかもしれへん。ブラインドが好きなのは、釣りをしてる気分になるから。それが自分のリズムやし、投げて巻くのが僕のスタイル。でもプラクティスでデカいのがおる場所をある程度把握してるから、目で見てはいなくても、それをねらってキャスティングしてるつもり。冬の釣りはね〜。正直、勘弁してほしい。得意なのは、夏から秋やから。もう〜、ホンマにあの寒い中を連戦してみぃ〜って感じ。「オレは修行僧かッ!」と思うくらいツラいわ(爆笑)。

basswave:昨シーズンは雨や雪で大変でしたからね。ツアー後(6月以降)は日本に帰られてますよね。夏から秋といえば、BASSではオープン戦の時期です。
清水:ホントはね、得意な季節でもあるし(オープン戦にも)スゴく出たい。でも日本でいろいろとお仕事があって。日本での仕事があるから、ツアーにも出られるわけから、難しい選択やね。ご無沙汰にしていたら、ファンに忘れられてしまうし。

basswave:2年間両ツアーに参戦されて、得たものはなんでしょうか?
清水:ハートが強くなったこと。アメリカのトーナメントに出ていて、いい意味で図太さに欠けてると思ってた。「図々しいやっちゃ」とは言われるけど(笑)、トーナメントでは悪い意味で「いい人」になってしまうことも多かったし。それが少しずつついてきたかなと。諦めない部分とか、強いハートで臨まんとアメリカのトーナメントでは勝てない。

basswave:まさしく「ワイルド・アット・ハート」なワケですね。
清水:アハハハハ、上手いこと言うね。もらっとくわ(笑)。

basswave:「もらっとく」って。元々清水さんのビデオのタイトルですよ(笑)。


 今季BASS CITGOバスマスターツアーは、最悪のコンディションの下で開催された大会がほとんどだった。第1戦が雨、第2戦も雨で3日めからは雪に変わり、第3戦は初日の前夜から降雪に見舞われ、第4戦では寒冷前線の通過による雨でスタートがディレイ、第5戦は強風で多くのエリアが潰れた。唯一好天に恵まれたのは最終戦だけだった。インタビューでも「冬の試合は苦手」と語るだけあり、昨シーズンは自分の思う展開で試合が組めなかったのだろう。
 フィッシングパターンというものは、天候の変化に大きく左右される。プリプラクティスで得た感触が天候の急変によって崩れるてしまうと、プラクティスの時間を充分に取れないアングラーにとっては厳しい展開となるのは間違いない。移動と試合による疲労で精神的、肉体的にも濃い内容の公式プラクティスを行なうことは難しいだろう。そんな過酷な状況を乗り越えてこそプロアングラーなのかもしれないが、そういう時間的なロスや体力的な部分をカバーする上でも、プリプラクティスの内容が重要なカギとなる。つまり、プリプラクティスの内容を再確認することが試合直前の公式プラクティスというわけだ。ところが、天候の急変によってプリプラクティスの内容が本戦前に確認できない場合、わずかな時間でパターンをゼロから再構築しなければならない。これをカバーするためには経験という要素が必要になってくるが、当然のことながら清水さんはアメリカでの経験が乏しい。清水さんは大きなハンディを背負っているわけだ。
 ところが、このハンディは清水さんだけが背負っているわけではない。若干30歳のグレッグ・ハックニーは、清水さんと同様に両ツアーをトレイルし、両方で年間総合2位を達成している。彼のFLW TOURにおいてのキャリアは清水さんより2年早い2001年からスタートしている(それ以前はBFLやエバースタートに参戦していた)が、バスマスターツアーに関しては、2004年がルーキーイヤーであった。つまり、経験だけがすべてではないのもプロアングラーの世界なのである。
 プロアングラーとしての実力は誰もが認めるだけに、清水さんに必要なのは地理的なハンディというより、アメリカにおける競技においての“試合慣れ”なのかもしれない。その一端が、自身が語っている「戦術面」や「図太さ」なのだと感じるのだ。日本では当然のように身につけていたこの要素をアメリカでも発揮できたなら、来シーズンはさらなる活躍が期待できる。
 
 清水さんは194位に甘んじたFLW TOUR第1戦について「前日に天候が急変して、バスがそのエリアから全部消えてた」と語った。スポーニングを意識してシャローのそこら中にいたバスが、天候の急変で一気に姿を消す……。これは第1戦が開催されたフロリダ州オキチョビーではよく聞く話だ。アメリカ東海岸の最南端に位置するオキチョビーは、浅く広く、ベジテーションに包まれた異質のフィールドである。アメリカ大陸からの低気圧が南方へと張り出して寒冷前線が通過すると、レイクは強風に見舞われ気温は一気に10℃以上低下する。冬でも温暖なオキチョビーではあるが、春は寒冷前線が通過しやすい時期でもある。フロリダバスが生息するオキチョビーはビッグウエイトに期待できるが、常に天候の急減とは隣り合わせにある。そのため、アングラーはシャローのネストと前線が張り出した場合の対処策を同時にプラクティスから得るわけだが、およそ琵琶湖の3倍、1890平方キロメートルというビッグウォーターを限られた時間で把握するのは簡単なことではない。天候が急変したことでパターンを見失いやすい代表的なフィールドだといえるだろう。
 
Part 3へ続く。

+清水盛三公式ウェブサイト「MORIZO WEB」

Posted by DODGE at 2004年12月30日 14:16 in Interviewave

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