2004年11月26日

古沢勝利インタビュー その3

PART3

古沢勝利インタビュー その3
Interview with Katsutoshi Furusawa #3

 ロングインタビューでお届けした「古沢勝利インタビュ」もついに最終章。古沢さんが3年間バックシートから培った最大の経験とはタイミングと「状況を読む」ことの大切さだとか。ルアーチョイス、タックルなどを含め、古沢理論をご堪能あれ。

basswave:アメリカでは日本のルアーやタックルの人気が高いと聞きますが、実際にはどうですか?  アメリカで日本製ルアーを使用する頻度は高いですか?
古沢:ノンボーターという限られた条件の中で競技するので、どうしてもショアラインはボーターが有利にルアーをキャストできます。そうなると、ノンボーターは沖側に投げることが多くなりますから、広範囲に探れるルアー……たとえばクランクベイトだったり、バイブレーションの登場は増えます。根掛かりした場合は回収しにいけることもありますが、ボーターの時間を無駄にしたくないので切っちゃうことも多いです。だから、いくら日本から余分を持参しても、プラ1週間、試合3日間をやってると、なくなるルアーが多い。そうなると、“現地調達”できるルアー、特に安いルアーを駆使して釣れるタイミングを覚える必要があります。ストックが少ないけどプラで調子のいいルアーは本戦用に残しておきますが、それでも本戦中に足りなくなるケースがありますね。トップウォータープラグのように、根掛かることが少ないルアーならともかく……。アメリカ製でいえば、バンディットとかノーマンはボーターにも人気が高いですし、地元のショップに買いに来てる人を見かけます。どこでも入手できるルアーが爆発するタイミングを見つけだして、それをベストなタイミングで投入するのは鉄則です。もちろん僕のスポンサーでもあるメガバスルアーがいい結果を生み出すタイミングもあるので、そのタイミングに合わせて使います。

basswave:日本では雑誌の記事が火付け役となって、ここ数年フラットサイド・クランクベイトの人気が高くなりました。元々アメリカンプロのシークレット的な存在だったと思いますが、実際に使われているのでしょうか?
古沢:中にはいます。でも、基本的に値段が高いしあまり売ってないので、入手ルートが確立された選手じゃないとそれなりの個数を持っていないようです。トップ中のトップが使ってるという感じですね。クラーク・ウェンドラントも使ってます。中にはプロトタイプなのか自分でリペイントしたのか、カタログにないようなカラーを使ってる選手もいました。さっきも言いましたけど、やっぱりタイミングなんですよね。どこでもこのルアー、どこでもこのワームのこの色ということはありませんから。地元のガイドなどが使っているローカルの定番は別ですが。ですから、僕の中でベストルアーを選ぶのは難しいですね。それと、アメリカ人は「このルアーはウッドカバーに適してる」とか「このルアーはグラスカバーに適してる」ということをよく研究してます。日本みたいにTVとか雑誌で「これはこうですよ」と解説してくれないですから、全部自分で研究してる印象が強い。適材適所をよく知ってるんですよ。ちなみに、僕のタックルボックスには普通のルアーしか入ってませんよ(笑)。みんなが持ってるルアーだと思います。みんなが持ってないルアー、みんなが普段使ってないルアーで入っているものといえば、ウィグルワートくらいです。

basswave:ウィグルワートといえば、最近ちょっと話題になりませんが、往年の名脇役、いや、メインベイトとしても活躍しました。あのワイドウォブリングは他のルアーではなかなかありません。
古沢:そうですよね。季節がハマると爆発するルアーですね。

basswave:どんな時期ですか?
古沢:やっぱり春先でしょう。クローフィッシュを意識して使ってるので、アメリカでベイトフィッシュとバスが重なり合う水温よりちょっと早い時期、日本でいう8〜10℃のときにクローフィッシュが動きはじめるらしいんです。多くのプロが「グッドサイズのバスがそれをねらって捕食してる」と言ってました。なるほどなと思って使いはじめたんです。そんな時期にウィグルワートを使用しているアングラーは多いと思いますよ。

basswave:一般的なアングラーの場合、その時期はどうしてもソフトベイトに走りがちです。
古沢:それもアリだと思いますけど、トーナメントの場合は決まった時間の中で多くのエリアをカバーしなくてはならない。競技中に効率のいい釣り方を選ぶなら、クランクベイトがベターです。特にウィグルワートはスローリトリーブでもよく動くし、アピール力も強い。クローフィッシュに似せて動かすという感覚で使用するんです。場所、時期のタイミングで使いわけることが、シークレットなんだと思いますよ。ルアーがバレたからって、そのタイミングが合っていなければバスの反応は悪くなるし、別のルアーがすでにいいタイミングになってるでしょうからね。

basswave:なるほど。とういうことは、当たり前かもしれませんが、ウィグルワートのタイミングであっても、ちょっと異なった水域にボートが進んでいった場合、別のルアーにシフトする。またウィグルワートへシフトバックするというローテーションが大切であると。
古沢:そのとおりです。ワームの色にしても一緒だと思います。この水質ならグリーンパンプキン、この水質ならチャートリュース。アメリカのブルーギルは体色がハッキリしてて、お腹がオレンジで尻尾が黄色だとか。クローフィッシュも日本のアメリカザリガニみたいな赤や褐色だけじゃなくて、グリーンに茶色が入ってる種類もいるので、マッチ・ザ・ベイトは理にかなってます。そうすると、タイミングという言葉の意味にはシーズンや場所に加えてベイトフィッシュという要素も入ってくるわけです。

basswave:それもボーターのタイミングに合わせるワケで、ノンボーターがバックシートからアジャストするのは難しいのでは? 
古沢:鉄則は……ペアトーナメントなら相談してエリアを決めますけど、FLWはプロアマ戦なのでボーターがすべて決定します。たとえば春先の大会で、ボーターはシャローフラットでスポーニングのバスをねらっている。ボートポジションにもよりますけど、自分も彼のタイミングに合わせてシャローフラットを釣る必要はない。少し沖のブレイクとかでステージングしてる魚をねらってもいいわけです。ボーターが前で何をしているのか、どんなルアーを使っているのかをよく観察して、バックシートで自分のパターンを作るわけです。

basswave:そのパターンもボートが進むにつれて、タイミングで変更させていくと。
古沢:そういうことですね。どれだけプラをやっても、本戦で入るのはほとんど初めての場所が多い。だから、本戦がスタートしてから瞬時にそのエリアで自分のパターンを見つけ出さないと競技が終わってしまう。もちろん、ボートを流すスピードによっても(ノンボーターは)パターンを組み直さないとダメです。よく「(ボーターが)クランク投げてるなら、後ろでテキサス投げれば釣れますよね」って言われますけど、そんな簡単なもんじゃありません。セオリーはそうかもしれない。でも実際にやってみると、テキサスでは“点”の釣りがメインになる。点をいっぱい作ることで線にします。クランクだと、最初から線をドンドン引いていきます。ボーターのペースが速いと、1つのスタンプに対して3カ所は撃ちたくても、1カ所撃ったら、もう20mくらい進んでしまっていることもあるんです。だから、ボーターのペース、ルアー、彼がねらってる魚の状態、それにタイミングをミックスさせて、自分でも効率よく釣りができるパターンを見つけないといけないということなんです。

basswave:話を伺っていると、ノンボーターで出場するほうが難しく感じますね。
古沢:だからこそ勉強になるんですよ。最初から僕がボーターで出ていたら、こういうこと考えずに普通に釣りをしてたでしょう。「状況を読む」ことの大切さをこの3年間で学んだと思います。

basswave:ボーターに釣り勝ってしまうときもありますか?
古沢:もちろんありますが、ボート上で気まずくなります(苦笑)。あんまりないですけどね。ノンボーターにたくさん釣られてしまう場合って、何かを見落としてるんでしょうね。ボーターもそこからヒントを得て活かせばいいわけですから。僕にバイトがあったとしますよね。で、フックアップできないと、そこにすかさず投げるボーターがいるんです。でも中には、「そこはカツ(古沢さんのアメリカでの愛称)のバスだから、もう1回投げてみろよ」と言ってくれる人もいます。ボートも止めてくれて、撃ちやすいように向けてくれたり。もっと英語が話せてコミュニケーションが取れたなら、「いまバイトがあったから、もう1投だけさせてくれ」と言えたかもしれない。まぁ、そう伝えてもボートを止めてくれない選手はいますけどね。それでもパートナーがわかった時点で自分をちゃんと紹介したり、日本から来てここまで頑張ってるんだと伝えれば、多少はこちらの要求を聞いてくれたかもしれません。こういった駆け引きもノンボーターとして勝つためには必要ですよ。日本人選手の中には英語が僕よりできる人がいます。ヘラヘラしてるように見える人もいます。批判じゃないけど、僕にはそう見えました。でもそういう人はアメリカ人と上手くやってます。コミュニケーションに全力を費やしているのかもしれないし、それはそれで戦略のひとつなのかもしれません。だから、そういう人にインタビューすると、僕のインタビューとまったく違ったものになるかもしれませんね。

basswave:今年は深江真一さんがアングラー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。古沢さん自身はジェラシーを感じましたか?
古沢:それは感じましたよ(笑)。2年めが終わった時点で「日本でトップレベルの釣りをしていた人は、アメリカに来てその状況にアジャストできれば絶対いい結果を残せる」と感じていました。僕のレベルが高いとかじゃないですよ(笑)。ケビン・バンダムのように毎年上位でフィニッシュするのは人種や国籍を問わず難しいと思いますけど、タイトルを獲得するチャンスは近い将来絶対にあると思ったんです。「アメリカのレイクと僕たちの波長が合えば獲れる」と。「それを証明する一番最初の選手は僕でありたい」とずっと思ってたら、フカシンとタカヒロ・オオモリにやられました(笑)。

basswave:話をタックルに戻します。アメリカ人のタックルを見ていて何か感じたことはありますか?
古沢:ロッドは全体的に長いです。6.6ft以上のロッドを使ってる人が多い。バスプロショップスに行くとわかりますけど、6ft、6.6ft、7ft、7.6ftしか売ってないという感じですよね。長いけど、硬さは使い分けてます。考えて使ってますよね。フリッピングロッドであっても、それでテキサスのズル引きをしている選手もいます。リールはシマノが断然多いです。プロで多いのはキュラド、カルカッタ。アマチュアだとアンタレスも多いみたいです。次にフルーガー、クアンタムがあって、ダイワとアブと続く感じですかね。

basswave:テクニック的な面ではどうですか?最近はセンコー(ヤマセンコー)の人気が凄まじかったと思います。
古沢:「ダウンショットリグの作り方を教えてくれ、釣り方を教えてくれ」と言われることが多かったですけど、最近はセンコーで持ちきりですね。ノーシンカーであっても、ライトテキサスであっても、比重のあるスティック系ワームのフォーリングで攻めるテクニックを“センコー”と呼んでます。「明日はセンコーするから」と言われて、翌日タックルを見たら、センコーに似たワームがついてました(笑)。でも、みんなゲーリー・ヤマモト社のセンコーが釣れるということは知っているようです。ワッキーで使ってる人もいます。最初の年にフロリダの大会で「センコーみたいにフォーリングの速いワームは釣れない」と言われたんです。みんなスーパーフルークのように、表層をトゥイッチできるワームを使ってた。なのに2年めにフロリダに行ったら、みんなセンコー使ってた。「ダメって言ってたじゃん!」と思いました(笑)。

basswave:ワッキーといえば、日本ではズーム社のスワンプクローラーのネコリグも人気が高いです。でもアメリカではスワンプクローターがあまり売ってないと聞きました。
古沢:そうなんです。ズームのワームを置いてるショップでも、スワンプは置いてないことが多いです。なので、僕は日本から持って行ってます。アメリカでスワンプのネコリグをやってる人は見た覚えがないですね。スワンプを使うなら、ジグヘッドリグでスイミングさせてるのかなぁ。僕がマスバリで使ってると興味津々で見てきます。ワッキーは、シェイクしている間にバスが吸い込んで自動的にフックが刺さってる場合が多い。だから、マスバリのほうが刺さりがいいと思いますけど、(アメリカ人アングラーでワッキーをする人は)シャンクの長いストレートフックでやってる人が多いですね。

basswave:長いインタビューありがとうございました。来シーズンはボーターデビューを果たしますが、また別の視点で発見があるかもしれません。その際にはまたお話をお聞かせください。
古沢:いい結果を残せるように頑張りたいですね。ありがとうございました。


古沢勝利さんは今年、Basser Allstar Classicへ初出場を果たした。初日は5尾で3780g、4位で折り返したが、最終日は1尾で560gのウエイインとなり7位で大会を終えた。ただし、あのそうそうたるメンバーの中で初出場7位というのは素晴らしい成績だったと思う。この勢いのまま来シーズンの大会を迎えてもらいたい。

(古沢さんは現在東京都八王子市にあるプロショップ「Flutter八王子本店」の支店長でもある。お店の詳細は:〒192-0015 東京都八王子市中野町2680-7 Tel/fax:0426-27-4130。古沢勝利オフィシャルサイト

Posted by DODGE at 2004年11月26日 18:38 in Interviewave

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