2004年10月14日

琵琶湖に新外来魚 フロリダバス大量繁殖

密放流裏付け、生態系に深刻な影響
 ブラックバスの繁殖が問題となっている琵琶湖(滋賀県)に、「フロリダバス」という新たな種類が繁殖していることが県立琵琶湖博物館の研究者らのグループの調査で分かった。これまでバスの大半を占めていた「ノーザンバス」との交雑が急速に進み、交雑種が七割を超えたエリアも。新種の繁殖は、密放流がまだ続いていることを裏付けるとともに、ノーザンバスよりも大型のフロリダバスや交雑種が増えることで生態系へのさらに深刻な影響が懸念される。

 調査は、同博物館主任学芸員の中井克樹氏(理学博士)や元香川県水産試験場主任研究員の横川浩治氏(農学博士)らが行った。
 日本に生息するブラックバスは、口の大きさなどからオオクチバスとコクチバスの二種類に分かれる。北米原産のオオクチバスのうち北米大陸東部に分布するのがノーザンバスで、主にフロリダ半島に分布するのがフロリダバス。フロリダバスはノーザンバスに比べて大型で、交雑種も含め大きいものでは体長七〇センチを超える。
 日本で、フロリダバスの生息地として有名なのは奈良県下北山村の池原ダム。釣りファンのために放流されており、力強いバスを求めて多くのファンが集まる。
 研究グループでは、オオクチバスの体の組織からノーザンバスとフロリダバスを判別する遺伝的研究を続けている。琵琶湖のオオクチバスについては、平成四年に約百匹を調査した結果、すべてが純粋なノーザンバスであるとの結果を得ており、琵琶湖のバスは少量のコクチバスなどを除けば、すべてノーザンバスとみられていた。
 しかし、その後の調査で、純粋なノーザンバスの特徴を保有しないバスが見つかり、琵琶湖に新たな種類が侵入していることが判明。平成十二年から十五年にかけ、琵琶湖北の西浅井町と南の大津、守山両市、西の志賀町の四カ所でバス計約二百匹を詳しく調べた結果、いずれの場所でも純粋のノーザンバスは約三割にも満たず、大半がノーザンバスとフロリダバスの交雑種であることが分かり、純粋のフロリダバスも見つかった。
 中井さんらは「フロリダバスの侵入が自然に発生するとは考えられず、密放流があったと推定できる」といい、琵琶湖で純粋なノーザンバスがほとんど生息していない状況について「持ち込まれたフロリダバスの個体が相当数であったと考えられる」と指摘、放流時期や量についても明らかにしていきたいという。
 滋賀県では漁業調整規則で、フナやコイなど指定された十六種類を除く水産動物の放流は禁止され、違反者には「六月以下の懲役もしくは十万円以下の罰金」の罰則が設けられている。しかし県が民間の警備会社に委託して湖岸のパトロールを続けているにもかかわらず、密放流の情報は頻繁に聞かれるという。
 またブラックバスは、来年四月に施行される「特定外来生物の生態系被害防止法」で、輸入・飼育などを原則禁止する特定外来生物に指定されるかどうかが注目されている。
 ■瀬能宏・日本魚類学会自然保護委員会副委員長の話 「今回の結果は、バスの密放流が行われていることを科学的に裏付けたという意味で非常に重要だ。フロリダバスは大きく成長するため、ノーザンバス以上に在来生物への悪影響が心配される。ブラックバスが特定外来生物に指定され、適正に管理されるよう一層強く働きかけていきたい」
≪約40種、推計3000トン 外来魚≫
 滋賀県水産課によると、琵琶湖の外来魚は平成十三年現在で約三千トンと推計されている。県が記録を取り始めた六年以降、新たに発見された外来魚は約四十種類に上り、大半は熱帯魚などペットとして飼われていたものが捨てられたとみられる。オオクチバスやブルーギルなど一部の魚は繁殖し、外来魚が急増した昭和六十年ごろから、タナゴやフナ、ホンモロコなどの在来魚が激減した。
 県では、昨年度から琵琶湖岸約六十カ所に回収ボックスやいけすを設置、さらに釣り上げた外来魚と、地元で買い物ができる地域通貨と交換する「ノーリリースありがとう券事業」を実施。昨年四月から先月までに約六十トンを回収するなど、新たな駆除事業が成果を上げている。(産経新聞)

+Yahoo!ニュース-社会-産経新聞

Posted by jun at 2004年10月14日 02:38 in ブラックバス問題

mark-aa.jpg