2004年09月03日

その後のスネークヘッド事情(04-9-3)/ アメリカの外来魚問題

 当サイト5月25〜26日に前編・後編でレポートしたアメリカの外来魚事情 -- スネークヘッド問題。2002年にバージニア州の野池で発見されたときは毒物散布で駆除していたが、今年5月に発見されたときは前回と異なる緊張感があった。なぜなら、今回はスネークヘッドがBASSなどの大会開催地として認知度の高いメリーランド州ポトマックリバーで捕獲されたからである。隔離された水域ではなく河川で棲息が確認された場合、その生存範囲は全流域に渡るわけで、大きな波紋が広がった。ここではその後の経過をレポートしたい(ここで紹介するスネークヘッドは、英名northern snakehead-学名Channa argus。学名からカムルチーだと思われるが、記事内ではスネークヘッドを記する。また過去のスネークヘッド問題は当サイト「海外Fishing事情」を参照に)。

 5月下旬に発見された4尾めのスネークヘッドに続き、6月3日には5尾めが捕獲された。捕獲された場所は以前にも生存が確認されているポトマックリバーの支流。Maryland Department of Natural Resource(DNR:メリーランド州天然資源課)の生物学者たちが水中に電力を流してある一定区域の魚に電気ショックを与え捕らえた。サイズは14inだった。
 6尾めは6月17日に釣り人によって釣り上げられた。サイズは24inで5Lb14ozと他のスネークヘッドに比べ大きい。今回もポトマックリバーの支流で捕獲された。

 そして6月30日、メリーランド州環境課は州政府に対し、スネークヘッドを所有することを禁止する法案を提言した。メリーランド州DNRによると、法案は「(州条例によって定められた)29種の外来魚とその卵の所有を禁止」する内容で、これにはここ数ヶ月の間に捕獲されたノーザン・スネークヘッドももちろん含まれている。この時点の州法は、生きたスネークヘッドを所有する場合は州から許可が必要というもので、同州内で所有するのは許可されているが、州を越えて輸送することは禁止している。つまり、移出の禁止である。もちろん、飼育していた個体を自然界に放すことも禁止されている。ところが、鑑賞目的とは別にアジア系マーケットではスネークヘッドが食用目的で販売されているため、州の許可を得ずに所有者が変更する場合が多々あるのだとか。これはメリーランド州だけに限らず、アジア系マーケットがある町で頻繁に行われている可能性があり、その危険性が懸念されている。
 DNRは「一部の人間によって行なわれた行為(密放流)がエコシステムに大きな被害を与える可能性がある」とし、被害が拡大する前の防御として立案したと強調した。
 しかし、メリーランド州ペット協会は「スネークヘッドを飼育しているだけで、すべての所有者が犯罪者のように扱われているのは問題だ。鑑賞目的で流通している個体はポトマックリバーなどで発見されているノーザン種とは異なる。たとえ自然界に放たれても、そのすべての個体が生態系を破壊するとはいえないし、ましてやこれら熱帯産の魚がメリーランド州の冬を越せるはずがない。ゆえに、この法案はスネークヘッド種所有者にとってフェアーではない」と反論した。

 また同時期に、面白い記事が釣りやハンティング、アウトドア情報を提供するアメリカの有名雑誌「Field & Stream」に掲載されている。メリーランド州DNRと同州ハノーバーに店舗を構えるBass Pro Shopsがタッグを結成。フック、ライン、ロッドなどのフィッシングタックルで見事スネークヘッドをポトマックリバーやその流域、ローカルポンドで釣り上げた場合、賞金を授与する「Snakehead Reward(懸賞金)」をスタートすると発表した。期間は7月1日〜10月31日までで、12inのスネークヘッドには10ドル、13〜24inには25ドル、24in以上には50ドルのギフト券が贈られるそうだ。

 その後、大きな報道はされていないが、7月7日には11尾めが地元のアングラーによって釣り上げられている。翌日には12尾めのレポートされ、9日には14尾めが、8月24日は18尾めがDNRに報告された。場所はすべてポトマックリバーの支流である。

 前述した「29種の外来魚とその卵の所有を禁止する法案」に係わるパブリックフォーラムや傍聴会が、その後、数回開催されている。この法案の焦点は(メリーランド州の自然界に放たれた場合、冬を越せないはずの)観賞魚系のスネークヘッドがなぜノーザン・スネークヘッドと一緒にされて、ペットオーナーが法案の的にされるのか、という部分だった。数回に及んだフォーラムや意見交換会の結果、法案を提言したメリーランド州環境課は「どれが危険な種なのか」を再検討し「29種」とされている部分をモディファイ(修正・変更)すると、8月27日に発表した。
 元々この新法案は州条例として9月13日から施行される予定だったが、現在のところ数ヶ月内に新案を立てて施行する方向にあるという。

ソース:
+Fifth Northern Snakehead Fish Caught In Potomac River
+Sixth Snakehead Caught in Potomac River Tributary
+Md. Proposes Making Owning Snakeheads Illegal
+Retailer to Reward Snakehead Killers
+14th Snakehead Caught In Potomac Tributary
+DNR Withdraws Proposed Snakehead Regulations
+Maryland To Modify Snakehead Ban
+ノーザン・スネークヘッドの写真
+当サイト「海外Fishing事情

Posted by DODGE at 2004年09月03日 14:50 in 海外フィッシング事情

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