2004年08月25日

大森貴洋さん、凱旋帰国記者会見レポート

 8月21日、滋賀県のアングラーズインにて、ラッキークラフトとポパイの共催により、大森貴洋さんのバスマスター・クラシック優勝記念記者会見が開催された。この会見には同じくアメリカから今季バスマスターツアーAOYのジェラルド・スインドルと第1戦優勝者のマーティー・ストーンも出席。また、特別ゲストとして大森さんと親しい並木敏成さんと川口直人さんも駆けつけた。ここでは、大森さんの会見の模様をお届けしよう。

大森貴洋:このトロフィーは同じ日本人として日本に持ってこられたことを誇りに思います(拍手)。まぁちょっと時間がかかっちゃったんですけど、こうやって(チャンピオンとして)帰ってこれて嬉しいです。
並木敏成:大森君とは長いつき合いで、彼が(河口湖の)鵜の島でキャンプしてた……あの伝説のね、とにかく駆け出しのころから僕も一緒にバスプロやってきて、アメリカでも一緒にサーキットを廻った。今年に関しては、FLWのみで一緒でしたけど、過去4年間一緒にやってきて、今回大森君の優勝っていうのは自分も嬉しい。誇りに思う。日本のバスフィッシングの歴史の中で一番の快挙を彼は達成してくれた。今回のことは日本のバスアングラーに夢と希望を与えてくれたと思うので、そういった意味でも感謝しています。これでかなりの大金を稼いだでしょうから、美味しいものでもオゴってください(笑)。
川口直人:僕はもう大森と15年くらいのつき合いで、アメリカに行くまでは一緒にいることが多かったほうだと思います。アメリカに行きたい、アメリカのトーナメントに出たいっていうのを言い出したときに、出るだけでも大変なのに、それが何年か経ったらクラシックまで取ってしまったっていう。すごく驚きましたけど「いつかはやるかな!?」と思ってました。有名な「何歳でクラシック取る」っていう計画表がありますよね。あれを作ったとき、もちろん僕も見ましたけど、「こんなに上手くいったら、誰でもできるんじゃないの?」と言ったんです。ホントにそれをやったっていうのは嬉しい。僕は日本にいて、ちょっと目標がなくなった感じなので、この大森がクラシックを勝ったのを機に僕ももうちょっと目標をしっかり持とうと思います。おめでとう(大森さんが「ありがとう」と言って握手)。


記者会見の質疑応答

記者:並木さんや川口さんが大森さんに最初に出会ったころの印象は?
並木:河口湖で大会のプラをやってて、夕方になって湖岸に戻ってきたとき、ひとりアルミボートで沖に走っていったヤツがいたんです。僕は(川口)直人に湖岸で会って「アイツ、こんな時間にどこへ行くんだ。誰?」って聞いたら、「大森ってヤツでね、鵜の島でキャンプしてる」と。それがはじめての出会いだったと思います。その次に会ったのはたぶん、大森君は河口湖でガイドしてて、僕は釣りをしてたときです。一緒に釣りをしたこともあります。アメリカでもやってますし、直人とも河口湖でやってます。
川口:釣りは河口湖でも一緒にやってますし、アメリカでもやってます。大森の釣りの印象は、ザツなんですよ。エレキもスゴい速いし、ライトリグでジクジクやる釣りは当時やらなかった。練習のときにはミニチューブを投げたりとか、それなりにやってた……かな? ルアーは拾ってきたものが多かった(大森さんと並木さんが大笑い)。ハンドメイドのスゴい高いのを持ってて、「こんな高いのどこで見つけてきたの?」って聞いたら、「網に引っかかってた」とか。スゴい面白かったですね。

記者:大森さんへ質問です。挫折したことはありますか?
大森:一番感じたのは、うちの父が3年前に亡くなったときです。そのときに釣りにちょっと興味がなくなったということはありました。それ以外には直接辞めようかなと思ったことはないです。
並木:今後も?
大森:今後は(クラシックを奪取して、自分自身へのプレッシャーも下がり)やりやすくなるから。選手としてこれ以上のタイトルってないので、自分のモチベーションを保つのが難しいかもしれないけど、できるだけ頑張ります。

記者:みなさんに質問しますが、勝つために必要なものはなんでしょう? 試合中に心がけているものは?
大森:試合に集中できる環境を作るのがまず第一です。あとは、諦めないで続けることだと思います。
並木:今日は、会見のあとのセミナーでその部分を聞けるよう僕もここに来ましたので、楽しみにしています(笑)。
川口:自分に負けないことが大事なのかなって思います。メンタル的な部分だと思います。

記者:先ほどの質問の回答で、「一番大きいタイトルを取ったので、もうモチベーションが高まらない」とありましたが、まだアングラーオブザイヤー(AOY)が残っていると思いますが、それはどうなんでしょうか?
大森:初期の計画表によると来年AOYを取る予定になっています。それを目標に頑張ります。

ジェラルド・スインドルからの質問:クラシックチャンピオンとして、大きな目標を達成した者としてこうやって多くのファンの前に帰ってくるのはどんな気持ちですか?
大森:I feel like I am Japanese!(僕は日本人なんだ、という気がする)。いい気分です。バス釣りだけじゃなくて、ゴルフやテニスのように他のスポーツでもいえることだけど、オリンピックに自国から選手が出場すれば、感情移入して応援できる。彼らはヒーローだし、誇りに思える。だから、僕が勝ったってことは、彼らも勝ったという気分になれると思う。だからこそ、こうやって帰ってこられて最高の気持ちです。


ファンを迎えての質疑応答:
(はじめに、どのようにして優勝したかを大森さん自身が解説)
大森:実際にどうやって優勝したかと申しますと、大会の1ヶ月前に5日間プラをやりまして、3日間をシャローに使って、一番大きいので6Lbくらいを釣りました。トータルで12Lbくらいを釣ることができて、1ヶ月前でしたけどいい感じだった。本戦は4週間後なので、たぶんディープのパターンもくるだろうと。でも僕の場合は基本的にシャローで、倒木とかを釣って1日10尾くらいのキーパーを釣るというパターンだった。僕のエリアはすごくニゴッてて、本戦ではたぶんクリアーになってバスはディープに落ちるかなとも考えました。それでプラの残りの2日間はディープをやりました。釣れる気はしませんでしたけど、とりあえずチェックして、本戦でも全部をカバーできるタックルを持っていきました。
 本戦直前プラでは8時間しかなかったので、とりあえずシャローをやって、ダメだったらディープをやろうと。そうしたら8バイトが取れて。そのうち1尾をクランクベイトで釣りました。
 初日はそのプラの場所に戻って16Lb2ozを釣ってトップに立ちました。フリッピングとピッチングがメインで、ゲーリーヤマモトのクリーチャーベイト、ズームのブラッシュホッグ(共にグリーンパンプキン)で釣りました。ロッドはチームダイワのフリッピングスティック7ft6in、リールはダイワのハイスピードリール、ラインはサンラインの50Lbのブレイデッドラインです。シンカーは5/16oz、フックはがまかつを使用しました。
 2日めは観客のボートが40艇くらい追っかけてきまして、釣ってるエリアが結構浅いところでしたので、それでニゴリまして。この日は5尾釣って、クランクベイトとクリーチャーベイトで釣りました。それでクラシックっていうのもあるし、しかも初日が1位っていうのもあって浮かれてて、5Lbくらいのがバイトしてきて、頭は冷静だったんですけど、身体が引き抜こうとして、バラしてしまった。僕はバラすことがほとんどないので、これで逆に冷静を取り戻しました。ラインも9年くらい使っていて、クセをわかっていたので、このラインブレイクがひとつのターニングポイントになりました。
 グッドフィッシュを逃したけど、まだ優勝圏内にいる。3日めも5尾しか釣ってないんですけど、シャローの倒木で朝の9時ごろにジグで2尾釣りました。そのあと13時45分までバイトがなくて、そのあとクランクベイトのパターンに変えて、1投めに3Lbくらいのを釣って、これで3尾め。14時半に帰着なので、14時15分には出ないといけない。14時10分に一番大きかった4Lb13ozをクランクベイトで釣った。その後の1投め、14時12分に1尾を釣って、ボートを出しました。ギリギリで5尾釣って優勝できました。

並木:プラでシャローのパターンを見つけたみたいだったけど、結局ディープのパターンでやってた人はいないの?
大森:2位になったアーロン・マーテンスと6位になったジェイソン・クインはディープで釣ってます。たぶん水深6mくらいだと思います。
並木:どれくらいのエリアを釣ってたの?毎日どうやってアジャストしたとか、最後はひらめきでクランクに変えたらバイトがあったの?
大森:基本的には2kmのセクションをメインにして、そのエリアの中でアジャストメントする感じです。ダムなので放水があって減水して、段々バスがストラクチャーから離れはじめている気がしたので、クランクに変えました。最初は水深30〜50cmにフリッピングしてたんですけど、魚が動いてると思ってからは、ボートを下げて、ログの先端部分、水深1.5mくらいをクランクで通すようにしました。

川口:クラシックのビデオの中で、大森は2日めに5Lbバラしてボートの上で大の字になってたけど、あのとき、あのあとの気持ちを教えてもらいたい。
大森:バラしてから自分に怒ってて、その10分後にまたバラして、切れないはずのブレイデッドラインが切れた。あの後は考えないようにしてても、「あぁ、これが釣れてればなぁ」って考えてしまう感じです。
川口:それで順位(1位から2位へ)落として、どう感じた?
大森:2日めが終わってからも、「あれが釣れてれば、明日は2尾くらい釣って優勝なのになぁ」って。
並木:でも、トーナメントって流れがあるじゃん。2日めに順位を落とすと、3日めはさらに落ちるみたいな。そういうことって多いよね。「俺には勝つチャンスが廻ってこないのかな」って気持ちになる。でもそれを最後に3尾釣って跳ね返したじゃん。これはドラマチックだと思うけど、どうやってストロングマインドを維持したの?
大森:アメリカで200戦くらいやってるけど、トーナメントは次にどうなるかわからない。2日めが終わって2位だった。これはまだ優勝のチャンスはあるなと思った。ミスはしたけど、2位でよかったなと。3日めできるだけのことはやろうと思ってスタートした。

並木:大森流でいいんだけど、ルアーをどうアクションさせたかを聞きたい。
大森:まずフリッピングとピッチングで倒木を攻める。倒木の幹の一番太いところとか、枝が重なってるところ。ヘビーカバーの部分を攻める。1つのスポットに3回くらいキャストして次を撃つ感じです。いい木は5分くらいかけて攻略する。夏はバスがいるんだけど食わないことが多いので、クランクベイトでも同じラインを何回も通したりします。
並木:今回釣った魚の中で、キャストしてすぐに食ったのはどれくらい?
大森:半分くらい。アグレッシブでアクティブなのは1投げめで食うけど、何回も通してバイトするのもいた。

川口:最終日の最後に3尾釣ったけど、あの3尾をどう思った?
大森:クランクに変えたのが13時45分で、すぐに釣れて、「あっ、クランクのパターンが生きてる」と思ったけど、「時間切れにならなきゃいいな」とも思った。それで、クランクで通すのに一番いいところだけを選んで攻めようと思った。
川口:帰りにボートを走らせているとき、叫んでたでしょ(インタビューの前にクラシックのビデオを上映した)。大森にしては珍しいよね。
大森:結局最後に3尾釣れて、すぐにライブウェルに入れたから、何Lb持ってるかわからなかった。トータル12Lb釣っていれば、ディープでやってた連中にも勝てると思った。それで5尾で何Lbあるのかを計算しながら戻ってました。
川口:じゃぁ、あれは「勝った!」って叫びじゃなかったの?
大森:違う。自分の中でやれる範囲でリミットを獲れて「やったー!」っていう叫び。頭の中ではまだ優勝するとは思ってなかった。
並木:ウエイイン会場で大森君のウエイインが終わって、暫定トップのシートに座って、最後のディーン・ロハスのウエイインを待ってる間、「勝った」とは思わなかったの?
大森:会場についたら、お互い話をするなって言われてた。だから、ディーンが魚の入った袋を持ってきたときに、はじめて彼のウエイトがわかった。アーロンを負かしたとき、アーロンは釣ってる雰囲気があったから、その時点で「もしかしたら」とは思った。ディーンとはあの2kmのエリアをシェアしてて、5尾持ってきたけど、あのバッグの大きさを見たときに「優勝かッ!?」とわかった。

川口:優勝が決まって、あの演出の中でしょ。ビデオで見て、改めてスゴいなって思う。トロフィーを頭の上に掲げて、あのとき何が頭に浮かんだ?
大森:15歳、高校生のときからの夢だったんで、アメリカに21歳のときに来て12年経って、いろいろと思い出して、感動しました。

並木:バスマスター・クラシックに優勝すると、その後1年間くらいはセミナーに出て、ギャラとかスポンサーからのボーナスとかで1億円くらい稼げると言われてるけど、どうなの?
大森:1億円っていうと、僕がFLWとBASSで稼いだ獲得賞金がちょうど今1億円を超えたので……。でも結構お金使ってるから、また仕事して頑張ります。
並木:今までは積極的にセミナーで廻るっていうのはなかったと思うけど、これからはどうなの?
大森:今は新しいスポンサーからもいくつか話はあるんですけど、今までお世話になったレンジャー、ヤマハとかダイワにできるだけ恩返しをしようと思っています。

並木:ラインなんかはどうしてるの?
大森:クランクベイトにはサンラインFCスナイパー16Lbを使っているんですけど、伸びが少ないっていうのとスレに強い。
並木:PEラインは使わないの?
大森:PEだとバイトを弾いてしまう。
並木:じゃぁ、ファストムービングルアーにはPEを使わないの?
大森:スピナーベイト、バイブレーション、バズベイトには使う。ただしティップの軟らかいコンポジットロッドを使ってバスを弾かないようにしてます。

並木:大森君はリールにパンパンにラインを巻いてるけど、なんで?
大森:飛距離を出すためです。バックラッシュは多少しやすくなりますけど。


一般からの質問:
バラさないとおっしゃっていましたが、それは技術的なものですか?
大森:ホントにバラさないんですけど、年間でバラす魚は1〜2尾です。年間で1%、またはそれ以上のバスをバラすと、ミスマッチなタックルを使ってると判断してます。基本的には充分に使い込んで理解できたものだけを試合で使ってます。フックからリール、ボート、魚探も理解しているものを実践に投入するのが大事です。逆に言うと、中途半端なテスト段階のものは一切使っていません。こういう考え方が、「1尾バラしたら終わりだ」というトーナメントで重要になります。こういう心がけが成績に現れると思う。

ガイド業はこれからも続けていきますか?
大森:ガイドを元々はじめた理由は、釣りをしながらお金をもらえるから。天候とかバスを観察しながら、自分をアジャストして試合に反映できる。トーナメントプロにとってはガイドも練習になる。2001年9月11日に起こった同時多発テロの前は年間50組はやってた。テロの後はお客さんが減って、また少しずつ増えてるんですけど、去年は15日くらい。今年は時間がなくて2日くらいしかまだやってない。今後もできる限りやっていきたい。

根ガカリが多そうな場所で、どうしてスピナーベイトではなく、クランクベイトを使ったのか?
大森:もちろんスピナーベイトはよく使いますし、根ガカリしにくいメリットがありますけど、あのルアーは魚を釣るスピードがスゴく速いんです。多くのアングラーが一斉に使うと、バスがスレてしまう。クランクベイトは同じリアクション系でも、スレにくいんです。試合で使ったルアーは浮力が強くて、ストラクチャーに当たっても浮力で回避してくれるし、止めると浮かんできてカバーをクリアーしてくれる。特にそのクランクベイトには四角いリップがついていて、この形状はカバーにコンタクトしたときヒラを打つので根ガカりにくくなっている。どのクランクベイトというわけじゃなくて、こんな機能を持ったルアーならカバーの中でも使えます。だから、スピナーベイトでスレて釣れなくなった魚をクランクベイトで釣るという考えで実践でも使いました。

ディーン・ロハスは元々西海岸出身のアングラーで現在はテキサス州、それも大森さんの自宅の近くに引っ越していますよね。そんなロハスを相手に、クラシックではエリアをシェアして闘ったと聞いています。エリアをシェアするにあたって、両者間では言葉でのやりとり、駆け引きはあったのですか?
大森:1ヶ所を2人でシェアするんじゃなくて、2kmくらいのエリアを釣っていたんですね。ディーンは元々アリゾナ州出身ですけど、4年くらい前に僕の家から10分くらいのことろにセカンドハウスを買って、お互いに行き来したりしてとても仲良くしています。友達なので、プラクティスが終わった時点で同じエリアを釣っていたので話し合いました。お互いの目標は魚を釣ることで、邪魔することじゃないので。ボートのスタート順で「今日僕はこの辺りから釣るから、じゃぁ僕はあっちから」みたいな感じでお互いフェアにやりましょうとなりました。

バスはどれくらい移動すると思いますか?
大森:湖の形状やタイプによって異なるとは思いますけど、50km上流で釣ったバスをダムサイトで放したとして、時間はかかったとしても釣られた場所に戻ってると考えています。とある湖では1年に60回とか70回とかトーナメントが開催されていて、それでもウエイイン会場の近くで釣って誰も優勝したことがないし、いつも釣れている場所でまた釣れる。というころは、魚は自分にとって一番いいエリアに泳いで戻っていると考えています。

3人に質問します。スランプのときは、どうやって乗り越えてきましたか?
並木:スランプのときを振り返ると、集中できていなかったのが多い。メンタル面もそうだけど、普段の準備不足。充実して集中して内容の濃いプラをする。どれかひとつが欠けててもダメだと思う。バスフィッシングっていうのは、日進月歩というか、毎日進歩してる。ちょっとでも努力を怠ったら、落ちてしまう。
大森:スランプかなと思ったら、もっと湖に出てプラをするようにしています。あとは、スランプだと思わないこと。いい練習をして、いい結果が出るのを待ちます。
川口:以前は、調子が悪いときはムキになって練習してましたけど、ここ2年くらいはやらない。スランプのときは何もしない、遊んじゃう。そうすると、ずーっと遊んでいると罪悪感が出てきて、プラとか本戦で集中力が出ます。だから、遊んじゃうか、いっぱい練習するか、どっちかだと思います。


 記者会見ではESPN編集による大森貴洋特別バージョンのバスマスター・クラシックのビデオが上映された。それは2日めのウエイインからはじまり、5Lbをバラしたシーン、最終日の最後に怒濤の3尾を釣りあげたシーン、検量後グッドサイズのバスを取りだして誇らしげに観衆に見せたシーン、優勝が決定しトロフィーを掲げるシーンなどが収録されていた。わずか15分ほどのビデオだったが、これを見てグッときた記者、ファンは多かったはずだ。
 奇しくもこの会見はアテネ・オリンピック期間中に開催された。連日のゴールドメダルラッシュで優勝を目にする感激が薄れていたかと思いきや、逆にクラシック優勝がこれほど感動的なものなのかと会場の全員が思い知らされたようだ。
 
 今回、特別ゲストとして並木敏成さんが会見に参加している。並木さんは大森さんに遅れること3年、1995年に渡米。たった1年でTOP100(現バスマスターツアー)に昇格し、その年に日本人初のクラシック出場を成し遂げた。大森さんはというと2001年、渡米から9年めにしてクラシックの舞台へと上がっている。
 一度アメリカから撤退した並木さんであったが、2003年からFLWツアーに参戦。なんとそのルーキーイヤーにチャンピオンシップ出場を決めてしまった。やなり並木敏成は天才である。
 しかし、そんな並木さんでも到達していない場所、クラシックの頂点には大森さんが先に辿り着いた。会見で並木さんは「自分が優勝したように嬉しい」と語った。もちろん、親しい間柄だけにこれは本心なのだろうが、誰よりも負けず嫌いな並木さんのことだ。そこには「先を越された」という悔しさがあったことだろう。そして今年は天才肌のアングラーがもうひとり海の向こうで活躍した。深江真一さんである。彼は並木さんより、そして大森さんよりも先にFLWのAOYを奪取してしまった。
 2004年は大森貴洋さんと深江真一さんが驚くべき成績を残したが、BASSアングラーオブザイヤー、そしてFLWチャンピオンシップなど、まだまだ日本人にとって未到のビッグタイトルは残されている。そして、並木さんはもちろん、田辺哲男さん、下野正希さん、清水盛三さん、桐山孝太郎さん、宮崎友輔さんらがそのタイトルを虎視眈々とねらっているのだ。日本人アングラーたちが凌ぎを削って闘う姿は勇敢で、誇らしいものだと感じた。これからも、彼らの熱いバトルを期待したいものである。

Posted by DODGE at 2004年08月25日 17:59 in 海外トーナメント:BASS, スナップショット

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