2004年06月21日

「水郷」独り占め待った 商標登録めぐり3自治体対立

近江八幡の出願に潮来と佐原が意見書 「普遍的言葉」特許庁は却下
 「水郷」の文字の商標登録をめぐり、東西三つの自治体がバトルを繰り広げている。琵琶湖のほとり、滋賀県近江八幡(おうみはちまん)市が文字をあしらった図柄の商標登録を二度にわたり出願。これに「待った」をかけたのが、東の本家、千葉県佐原市と茨城県潮来(いたこ)市で、類似の図柄を既に使っているなどとする連名の意見書を特許庁に出した。同庁は「水郷は普遍的な言葉」などとして二度とも申請を却下したが、近江八幡市は図柄を修正して再挑戦する構えで、地元のシンボルをかけた争いはまだ続きそう。

発端は昨年五月。近江八幡市が地元農作物のブランド化を図るため、「水郷」の商標文字を特許庁に申請。同庁は、佐原市で既に「水郷ネギ」「水郷イチジク」などが商品化されていると指摘し、「普遍的な言葉で登録は認められない」と却下した。
 これを受けて近江八幡市は昨年九月、今度は「水郷」の文字に商人が乗った舟や植物「ヨシ」の絵をあしらった図案を再申請した。
 同市農政課は「商標を取得すれば農家の励みになり、地元の誇りにもなる」と意義を語る。「琵琶湖八景」の一つに数えられる同市は、昭和二十九年の市制施行時から「水郷」をシンボルにし、すき焼きを食べながら舟で周遊する「近江八幡水郷めぐり」が人気の観光コースだ。
 この動きに反発したのが、利根川をはさむ河港として栄えてきた佐原市と潮来市。広辞苑の「水郷」の欄にも「千葉、茨城両県にまたがる水辺地域の称」と記された本家だ。両市は今年一月、類似図案を使った包装紙や地域の歴史などの資料を特許庁に提出した。
 佐原では、家をつなぐ「十二橋巡り」が観光の目玉になっており、潮来と同様に「水郷」を冠した商品が多い。佐原市農政課は「水郷の名称は全国共通の財産。独占は良くない」と話す。
 二度目の申請も、特許庁は米や野菜など食品販売のためなので「産地が判別しにくい」などの理由で却下したが、近江八幡市は「絵と文字を組み合わせ、より地域性を打ち出して再提出を検討している」とし、登録をあきらめない構えだ。
 一方、九州の水郷・福岡県柳川市も申請の動きに困惑。川下りが観光産業の目玉の同市は「(北原)白秋のふるさと水郷柳川」のキャッチコピーを取り入れ、水辺の柳並木とドンコ舟の風情ある景観を守ってきた。「水郷はあくまでイメージを優先させた言葉。水郷と呼ばれる美しい街が増えるのはいいことだが、自分の街だけ特別視させるような行為は理解できない」(市広報課)と話している。
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 ≪「阪神優勝」など登録判明後トラブル≫
 国内での商標使用を独占でき、類似物の使用を禁止できる商標登録をめぐっては、企業などが利益の保護、独占やブランド化を進める中で近年、さまざまな騒動が起こっている。
 阪神フィーバーに沸いた昨年、千葉県の男性が「阪神優勝」のロゴを商標登録していたことが判明。服やおもちゃで同じロゴを使うには、男性の許可が必要となり、阪神側が特許庁に無効を申し立て、昨年暮れに認められた。さらに「TIGERS」という商標を登録しているタイガー魔法瓶(大阪)との間でも訴訟に。阪神が「Tigers」、魔法瓶が「TIGER」と“住み分け”することで和解した。
 企業の論理に厳しい判決が下される例も少なくない。キューピーの愛称で営業する引っ越し業者に、大手マヨネーズ業者「キユーピー」が登録無効を申し立てたケースでは、東京高裁が昨年、使用を認める判決を出した。ほとんどのケースは登録されたことが後に判明して騒動になっており、特許庁や裁判所が“後手”に回る形。このため同庁は今年、審査に民間の意見を反映させようと、企業OBや文化人をメンバーとする懇談会を設けている。

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Posted by DODGE at 2004年06月21日 10:32 in 自然環境関連, 内水面行政関連

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