2004年04月21日

J.L.B.A.第1戦レポート

我が国初の女性のみのバスフィッシング・トーナメント団体「J.L.B.A. (Japan Ladies Bass Association)」が記念すべき第1戦を4月18日、茨城県長門川を舞台に開催した。試験的に昨年9月にプリ・オープン・トーナメントを開催しているが、今回が正式な旗揚げ戦である。
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 国内において現在までに女性がバスフィッシングのプロトーナメントに出場したのはこれが初ではない。JBではいしいそのさんをはじめとした数名の女性アングラーがマスターズやワールドシリーズを舞台に活躍している。アメリカでは、来日経験もあるフレッダ・リーやリンダ・イングランド、最近ではキャロル・マーテンス(アーロン・マーテンスの母)やルーシー・マイズ(ジミー・マイズの妻)、カレン・サヴィックがBASSやFLWで男子に混じって競技している。

 しかし米国では、早い時期から女性のみが出場できる大会や団体が存在した。有名なところではBass N' Gal、現在ではW.B.F.A (Women's Bass Fishing Association)がトレイル形式を導入し数州を股に掛け活動している。日本国内でも古くから女性のみのトーナメント開催が謳われてきたが、組織の発足にはいたらなかった。だがここにきて、W.B.S.が後援するかたちでJ.L.B.A.が誕生した。
 そもそも“男女が同じ土俵で勝負する”という理論は間違いではないが、他のスポーツを見てわかるように、混合で行なわれる競技の方が断然少ない。ゴルフやテニスでは混合が成立しているが、男女別で行なうのが通例である。それにはやはり肉体的、体力的、生理的、精神的などの面で大きな壁があり、混合では競技しにくいスポーツもある。

 「『女の子はW.B.S.に出場できないんですか?』と聞かれたことは何回もあった」と語るのはJ.L.B.A.の生みの親である吉田幸二さんだ。「最初に思ったのは、やっぱり女の子だからさ、トイレのことが気にかかった。俺はリアデッキに女の子が乗ってても平気でオシッコくらいできるよ。でも、普通、女の子はできないじゃん。それに『女の子がいたら恥ずかしくてオシッコできません』って言う男もいるかもしれない。最終的には、バス釣りはスポーツなんだから、混合じゃなくて、別々が好ましいと思ってたしね。それで、なんで女の子たちがW.B.S.に出たいと言ってきたかというと、理由は2つある。1つは、2名乗船だから、何かあったときに助け合える。2つめは女性が気軽に出場できる団体がないから、男子主体のW.B.S.に『出たい』って来た。だったら、女性のみの団体があったら、そっちに出てたかもと思ったんだよ」とJ.L.B.A.発足について述べている。

 余談ではあるが、ここで女性アングラーがどれほどに経済効果を生んでいるのかを記しておこう。
 W.B.F.Aによると、「20億人の女性がスポーツフィッシングに参加した経験があり、その平均年齢は30.3歳」だという。また「50%以上のBASSメンバーが男女で釣りをした経験があり、女性は年間1300億円を釣りに関係したアイテムの購入に消費している(この内99億円が淡水の釣りで消費されている)」。
 日米を問わず、女性が1人で釣行するケースは少なく、彼女たちが釣行する場合、家族や友達を帯同する。そのため、釣り具や現地でかかる諸経費が嵩み、男性1人が釣行するケースより消費額は増加するのだそうだ。
 したがって、女性アングラーの増加は大きな経済効果があると判断でき、そして彼女たちはバス釣り再建の大きな要因でもある。

J.L.B.A.のルールはW.B.S.サイトにも掲載されているが、ここではその重要ポイントを押さえておこう。
 まず、ロッドは5本までで、ルアーは支給されたボックス1箱に入る分だけ。ラインは8Lb以上で、ラインディングネットの使用は可。バスのサイズリミットは25cmで、バッグリミットは5尾。基本的に雨天決行で、年間3試合を開催する。エリアは長門川全域で、利根川に出ないこと。ボートは北総マリンのレンタルボート(グラスファイバー製ボート14ftのフルリグ)で、レンタル料はエントリーフィー8000円に含まれている。出場規定は18以上の女性で、船舶2級免許取得者であることだ。
 J.L.B.A.は「W.B.S.のレディース部門ではなくて、独立した組織。ただ大会運営とか難しいし、起ち上げの苦労を知ってるから。今は後援としてW.B.S.がサポートしているだけ。将来は誰か引っぱってくれる人が出てきてくれるといいね」と横山鉄夫さん(W.B.S.会長)は語っている。

 では大会を振り返ってみたい。第1戦が開催された4月18日、午前6時のスタート時点の気温は20℃。水温も場所によっては18℃という春真っ盛りの陽気と好天に恵まれ。しかし長門川の水質は異常なほどに悪く、バスを沈黙させた。急激な気温上昇、少量の降雨、そして田んぼからの濁水が流れ込み、長門川真っ茶色だった。北総マリンが主催するトーナメント・TBCの年間チャンピオンである鈴木美津男さんは、「これほどタフな長門川は珍しい。ここは利根川とかその支流でダメだったときの最後の手段的な場所だけど、それでも難しくなってる。バスも(水が濁っていて)視界が悪いんだろうね、ベイトを追いきれない。トップを引いてると、音で反応して飛び出すけど、全然違う場所に飛び出すから。痩せてるのも多い。ただ、大潮だったからタイミングはよかったはず。でも、この水じゃ難しい。今の長門川は誰がやっても1、2回のプラではパターンが見えないよ。だから、今回はそれくらいタフだったってことだね」と述べた。
そして、鈴木さんが語ったことは現実としてスコアに現れた。出場した6チーム(12名)でバスを釣り上げたのは1名。笠祥子/山本亮子チームの山本さんが1尾を釣り上げた。彼女はW.B.S.オフィシャルスタッフの一員で、初の女子スタッフとなった人でもある。今年でスタッフ歴5年めだという。
 山本さんは「笠さんが最初ピンクのプチ・ピーナッツを投げてて、2回バイトがあったんです。それでエラ洗いさせてバレて、『ゼッタイ、ピンクなんだよ〜』って言ってたんです。ヤマセンコーのピンクに代えて投げたら釣れました。でも、それ以降は緊張して覚えてないんです(苦笑)」と恥ずかしげに優勝コメントを残した。
 大会が終了し選手が散りはじめたころ、山本さんは笠さんにこう語りかけていた。
 「私1人だったら、その辺をクルクル廻って終わっていたと思います。今日は笠さんがいたから釣れたし、勝てたと思います。ホントにありがとうございました」。これがチームトーナメントの醍醐味である。

 私が感じたJ.L.B.A.の魅力は、「女性オンリー」以外の部分である。女の子が多ければ華があっていいが、それは観戦したり取材する者の視点であって、彼女たちにとってはまったく関係ないことだ。女性2人が同船し、自分たちで決めたエリアに向かい、自分たちで決めたルアーで釣ることに意味がある。J.L.B.A.では形式としてトロフィーと賞品が授与されるが、これを“プロトーナメント”呼ぶにほど遠い。これからプロへと成長するアングラーも輩出されるだろうが、今の彼女たちのレベルからすると、アマチュアと言わざるをえない。
 だからこそ、ボート上でお互いにコミュニケーションを取って相談し、エリアやルアー選定を考えてる行為に意味がある。普段私がフィールドで出会う女性アングラーの多くは彼氏や旦那さんに“釣れて来られている”ケースが多く、彼らに「これ使ってみたら」や「あそこにキャストしなよ」と言われている。しかし、J.L.B.A.では自分ですべてやらなくてはならない。そしてこの「自分たちで考えて釣った」部分がバス釣りの楽しさだと思うのだ。
 参戦したアングラーに話を聞いたら「勝ちたいより、“釣りたい”が先にあった」と言っていた。これはスゴく重要なコメントである。釣るという楽しみ。バス釣りは、たとえトーナメントであっても、楽しんでもらいたいし、楽しいものでありたい。2人でコミュニケーションを取って楽しむこと。これがJ.L.B.A.には溢れている。
 今回J.L.B.A.2004第1戦に参戦した選手は、「8Lbライン」ルールにも挑んだ。このような競技としての釣り方も楽しんでもらいたい。
 結果だけを見れば悲惨極まりないものだが、この一戦はJ.L.B.A.の歴史的第一歩である。スグに忘れ去ってしまう大会もあるが、選手、関係者を含め、この第1戦を忘れる者はいないだろう。勝敗を超越した大きな一歩であった。

J.L.B.A. 2004 第1戦 
優勝:笠祥子/山本亮子 1尾 450g

塩谷みな/山口直美 0g
大内直美/早間久美子 0g
須貝睦/佐野満理 0g
鈴木美香/樋口千穂 0g
種岡千代美/前川真理子 0g

宇川/森田(取材チームRod & Reel) 0g

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Posted by DODGE at 2004年04月21日 21:34 in 国内トーナメント

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