2004年02月26日

“貝のブラックバス版”が岩手や宮城の干潟に

 福島県が相馬市松川浦で確認したアサリの“天敵”の巻き貝「サキグロタマツメタ」が、岩手県や宮城県の干潟などにも生息していることが、石巻専修大理工学部の大越健嗣・助教授(水産増殖学)らの調査で、25日までに分かった。

 大越助教授は漁協などと協力して生態を調査中で「今のところ、目で確認できる大きさの貝や手のひら大の卵塊を取り除くしか駆除方法がない。冬を越した貝が大きくなる前に、実態把握や被害を抑える対策を講じるべきだ」と警鐘を鳴らしている。
 サキグロタマツメタは、三河湾や瀬戸内海、九州に生息し、東北にはいなかった貝。大越助教授は宮古市、石巻市万石浦、鳴瀬町東名などでも生息を確認しており、「アサリの稚貝を他地域から移植した際、何らかの形で混入した可能性が高い」とみている。石巻市万石浦のアサリ生産者高橋文生さん(53)は「干潮時も海水に覆われる泥地に多くみられるようだ」と話す。サキグロタマツメタが卵塊をつくる9月下旬から11月は、石巻地域の漁業者はカキ出荷で忙殺される時期と重なる。このため、石巻湾漁協では「生産者にアサリの漁場を見回る余裕がなく、初期の発生が見落とされたのではないか」と推測している。
 石巻湾漁協は3年前から万石浦産アサリの稚貝の生産に取り組み、安全な種苗確保に着手。当面の対策としては、他の2漁協と石巻市、女川町で構成する「万石浦漁場整備開発促進協議会」を通じ、組合員に貝や卵塊の写真を配り、(1)貝と卵塊の回収(2)稚貝搬入時の選別の徹底―を呼び掛けている。漁協の亀山洋一参事は「一漁協で解決できる範囲を超えている」と問題の深刻さを指摘。アサリ産地を抱える各県当局の積極支援を求めている。生態や被害などの実態がほとんど分かっていないことから、大越助教授は「まず食害量を算定すべきだ。分布を明らかにするため、研究者と協力し、生態や生活史を明らかにすることが必要だ」と、行政や漁協の課題を指摘している。
 02年度の東北のアサリ生産量は627トンで、そのうち宮城県産は463トン。[サキグロタマツメタガイ] 殻高約5センチの肉食の巻き貝。外来移入種と考えられる。在来の貝類も捕食、専門家の一部からは“貝のブラックバス版”とも呼ばれ、干潟生態系への悪影響が懸念されている。

+Yahoo!ニュース-東北-河北新報

Posted by jun at 2004年02月26日 13:01 in 魚&水棲生物

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