2004年01月19日

BASS「ノー・インフォメーション・ルール」を採用

 BASSがルール改正に乗り出した。兼ねてからウワサされていた「ノー・インフォメーション・ルール」を1月29日に開幕するバスマスターツアーから採用する。2003年度シーズンには「30デイズ・オフリミット制」を導入し多くのアングラーから反論されたが、一方では、それを支持するアングラーも少なくなかった。バス釣りトーナメントが他のスポーツと比較される機会が増加したのは、多額の賞金が授与されてからのこと。それまで釣り自体をスポーツと認めない一般人も多かったのも事実。ところが、NASCARをはじめとしたモータースポーツと同様に、アスリートの身体ひとつで競技する以外のイベントもスポーツとして認知されはじめ、観戦者にわかりやすいルール設定もバストーナメントに必要となった。その結果、「ノー・インフォメーション・ルール」が採用される運びとなった。

 「ノー・インフォメーション・ルール」とは、30日間のオフリミット期間中にプラクティスの禁止はおろか、電話によって情報交換をしたり、プロダクティブ・エリアをマークしたマップを受け取ったり、GPSを借りたり、直接他のアングラーに情報を聞くことを禁止する、というもの。つまり、試合の30日前からそのトーナメントウォーターに立ち入ることができず、「試合直前の3日間の公式プラクティスでマイパターンを割り出しなさい」というものだ。
  ちなみに、このルールは今回初めて採用されたものではなく、以前にもルールとして採用されていた。かつてBASSに参戦していた下野正希さんや大森貴洋さんも、このルールによってディスクォリファイとなったことがある。なお、このときはレストランで食事をしていた際、地元の釣り人に「ここでは●×がよく釣れるんだ」と話しかけられ、たまたまその場に居合わせた他のアングラーに告発されたというのが真相だったようだ。
 再びこのルールを採用した経緯は、参戦アングラーが地元のガイドやレイクに詳しい一般アングラーを雇って、プロダクティブ・エリアを割り出す行為を禁止するところにある。選手本人はボートを浮かべることなく、情報だけを収集してパターンを組むケースもよくあった(俗に言う“耳プラ”)。これらを禁止し、すべての競技者が平等に公式プラを行なうことでスポーツマンシップを高め、ファジーな部分を取り除くのもルール採用の目的の1つである。

 このルールを犯したアングラーは、初犯の場合、その試合からディスクオリファイされる。2回めは、次季ツアーやE50への参戦権を剥奪される。
 
 公式プラは試合の直前3日間に渡って行なわれるが、このプラ期間中も部外者からインフォメーションを得ることができないため、実質、大会前の33日間が同ルールの有効期間となる。
 また新ルールには「public knowledge」は受けてもよいと書かれている。たとえば、ローカル大会の表書式などに出向き勝者がステージ上で語っている内容を聞くのはよいが、勝者がステージから下りたのちに直接質問することはルール違反となるわけだ。同様に、「いいエリア知ってるから教えてあげるよ」などとオファーを受けた場合にも、情報は受けられない。下野さんや大森さんのような例は極端だが、アングラー側はかなり神経質にならざるを得ないといえるだろう。
 インターネットがパブリック・ナレッジに入るのかどうかは記されていない。

 さて、このルールが採用されて不利になるのは、ルーキー・アングラーたちという意見がある。ベテラン選手は長期にわたり全米を転戦してきたわけで、大会が開催されるフィールドで釣った経験がある、また少なくとも情報を持っている。しかし今季からツアーに昇格したアングラーは、何もないところからはじめなければならない。ツアーは東海岸、特にアメリカ南東部で開催されるケースが多いため、西海岸在住のアングラーにとっては、経済的だけではなく、情報的にも不利になる。ところが、アリゾナ州在住のマーク・カイルは昨年ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。カリフォルニア州在住のスキート・リースもツアーでは早くから好成績を残している。トッププロと呼ばれるアングラーたちは、どのような条件の下でも、上位入賞を成し遂げる力量を持ち合わせている。ゆえに、この新ルールが必ずしも若手アングラーに不利であると決めつけることは難しいだろう。
 実際のところ、「プロアングラーがローカルやガイドを雇って釣れる場所を聞き出していた」ことを知っていたライターなども少なくない。現在では若手筆頭のプロアングラーへと成長したティミー・ホートンも専業ガイド時代に数多くの有名プロを試合直前にガイドしていた。また、ツアー参戦者の50〜80%は、ローカルやガイドを雇ったり、無償で釣行してプロダクティブ・スポットを聞き出している。

 ところが、そのようなアングラーが大会を制した際に「私は優秀なガイドを雇ってよかったよ。私がやるべきことは、彼が見つけておいてくれたスポットで、スポンサーのルアーで釣るだけだった」と語るわけがない。現実的にこういった情報だけでトーナメントに勝てるかどうかは怪しいものの、これをスポーツマンシップに乗っ取った試合なのかと是非を問えば、答えは明確である。だが、昨シーズンは違反ではなかったため、ルール上まったく問題はなかった。プロとして勝つための方法論の1つに過ぎなかったのである。
 バス釣りの醍醐味は、自分で捜し出したバスを釣り上げることにある。これはもっとも根本的な部分であり、もっとも楽しい部分でもある。「ノー・インフォメーション・ルール」は、「アドバイスを受けてテクニックを上達させるのとは異なり、プロは個人競技として、あくまでも自らの技術で勝利を掴まなくてはならない」という勝負理論に訴えるものだといえる。

Posted by DODGE at 2004年01月19日 16:10 in 海外トーナメント:BASS

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